21-02 「ルールとは」
「いい子」が素晴らしいという美徳に惑わされた。
デザインの課題の提出要件を厳格に守ろうとしたとき、馬鹿真面目に宿題をやって身をボロボロにした過去の自分が頭をよぎった。
これまで何度も成績優秀な人の真似をしてみたが成就したことはない。
細部にも目を向けて精進してきた自分は悪い意味で真面目だった。
課題の要項に示されていた設計要件を事細かに自分のデザインに取り入れ、教授には「幕の内弁当」といわれる始末。
また一段と大人への不信感が募り、
『自分はしっかりあんたらが作ったルールを守ったのになんでそこを評価してくれないんだよ。』
と苛立った。
***
しかし、やっとその理由がわかった。
そもそもルールとは守るためのものではなく、秩序を維持するためのものであった。
幼少期からクソ真面目だった自分は幼稚園・小学校で「いい子」を演じきり、「先生に怒られないこと」がこの世で最も素晴らしいことだと勘違いしてしまった。
初等科の先生はやんちゃな他の子に翻弄されるため、落ち着いた子は黙っていることが評価され、怒られないに行動するようになる。
そしてルールは守るためにあるものだと誤解し、真面目な子ほど損をする。
***
建築基準法は守らないと刑罰の対象となるが、大学の一課題の設計要件はただの方向指示器であり、それによって創造力を抑制されるべきではない。
そもそも設計の授業は法律の講義ではない。それは法令遵守ではなく、アイデアを形にして表現する力を養成するためのものだったことにようやく気づいた。
【留学日記】Semester 2 Week 8「ルールとは」|A. Tomita
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